ヒューマンインタフェース2011
講習会
2011年9月13日(火)13:30-17:00(コース3のみ13:00開始)
1.脳機能計測の基礎とHI研究への応用
講師:杉浦 元亮(東北大学)、加納 慎一郎(東北工業大学)
司会:三浦 直樹(東北工業大学)
2.ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎
講師:杉原 太郎(北陸先端科学技術大学院大学)
司会:下田 宏(京都大学)
3.ユーザエクスペリエンス白書と今後の取組み
講師:黒須 正明(放送大学)
司会: 浅野 陽子(NTT)
4.売れるAppの作り方
講師:渋谷 正徳、高山 恭介
司会: 高橋 信(東北大学)
5.人間とロボットの力学的相互作用に基づく作業・運動支援の実現
講師:平田 泰久(東北大学)
司会: 嵯峨 智(東北大学)
コース1「脳機能計測の基礎とHI研究への応用」
司会:三浦 直樹(東北工業大学)
1.脳機能計測の基礎とHI研究への応用 ~fMRI実験デザインを中心に~
杉浦 元亮(東北大学)
近年の脳科学分野においては、脳機能計測技術の進歩・実験手法の高度化により、単一の認知活動に関与する脳内メカニズムを調べるだけではなく、より現実的な社会問題に関係する脳機能の解明や、その知見を社会に直接的に還元する事を目的とした研究が盛んに行われるようになってきている。 本講習コースでは、脳機能計測の概説、および具体的な研究事例を通じて、脳機能計測を効果的にHI研究に応用するノウハウを紹介する。 コースの前半は、講師に社会脳科学の最前線で活躍されている先生をお招きし、(1)機能的MRIの測定原理と実験課題の作成・(2)社会脳科学研究の実例について説明を行い、工学研究に応用する上での注意点について解説を行う。
専門分野: 脳機能イメージング、社会脳科学
略歴: 東北大学医学部卒。東北大学大学院医学研究科修了。博士(医学)。東北大学未来科学技術共同研究センター助手、ユーリヒ研究センター医学研究所客員研究員(学術振興会海外特別研究員)、宮城教育大学教育学部助教授、生理学研究所大脳皮質機能研究系助教授をへて現職。主に機能的MRIを用いて自己・他者認知をはじめとする社会認知脳メカニズムの基礎・応用研究を行っている。
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2.非侵襲脳活動計測によるBCIの現状と展望
加納 慎一郎(東北工業大学)
脳機能計測をHI分野に応用する研究の最もホットなトピックとして、脳活動信号を用いて機械を制御するブレイン・コンピュータ インタフェース(BCI)がある。BCIでは、脳波やNIRS(近赤外分光法による脳血流計測)などにより脳活動を計測し、得られた脳活動信号から機械学習などを用いて情報を抽出することで、ユーザの意図を推測することを目指す。また逆に、得られた脳活動信号から 得られた情報を用いてユーザにリアルタイムにフィードバックすることで、ユーザの脳活動の性質や規模を制御する(ニューロフィードバック)ことも可能になりつつある。 本コースの後半では、講師にBCI研究で世界的に活躍されている先生をお招きし、(1)BCIに用いられる脳活動計測法の原理、(2)BCI研究の事例紹介と、将来の課題について解説を行う。
専門分野: 非侵襲脳機能計測、ブレイン・コンピュータ インターフェース(BCI)、微小信号計測
略歴: 東北大学工学部卒。同大学院工学研究科博士後期課程了。博士(工学)。東北大学大学院工学研究科電子工学専攻助手、同助教、東北工業大学工学部知能エレクトロニクス講師、同准教授、現在に至る。非侵襲脳機能計測による高次脳機能解析、ブレイン・コンピュータ インターフェース(BCI)に関する研究などに従事。
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コース2「ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎」
司会:下田 宏(京都大学)
1.ユーザ評価のための定量的・定性的調査の基礎
杉原 太郎(北陸先端科学技術大学院大学)
HI分野において中心的な研究者群は工学系であるが、その専門家として涵養される過程において、ユーザ評価法、そのな中でも特にリサーチデザインについて体系的に学ぶ機会はそう多くない。本講習会では、初学者のための導入と位置づけ、前半で工学系研究と社会科学系研究の考え方の違いに触れ、後半では定量調査と定性的調査の各々の特徴について概説する。講師は、工学系出身でありながら、社会科学の研究に関わることになった経験を有する。その経験を生かし、特に工学系研究者が陥りやすい落とし穴について概説することに重点を置く。(本講習会は、昨年度のシンポジウムで好評であった同名の講習会を今年度も実施するもので、内容は昨年度のものとほぼ同じです)
キーワード: ユーザ評価、リサーチデザイン、心理実験、定量調査、定性調査(質的調査)
専門分野: ユーザ行動分析、インタラクション分析、感性情報処理
略歴: 2002.3 京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科 博士前期課程 修了 2005.3 京都工芸繊維大学 大学院 工芸科学研究科 博士後期課程 修了 博士(工学) 2005.4 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 助手 2008.4 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 助教 2007.4-2008.3 金沢工業高等専門学校 電気電子工学科 非常勤講師 2010.11-2011.3 Visiting scholar, Institute for Manufacturing, University of Cambridge.
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コース3「ユーザエクスペリエンス白書と今後の取組み」
司会:浅野 陽子(NTT)
1. ユーザエクスペリエンス白書と今後の取組み
黒須 正明(放送大学)
現在、ユーザエクスペリエンスに関して様々な見解が提示されており、関係者の間で意見の一致を見ていない。そのため、2010.9にドイツのダーグシュトゥールでワークショップが開催され、その結果が2011.02に白書として公開された。概念定義や測定方法などについて、まだ十分とはいえない面もあるが、一定の成果と考えられる。今回は、その白書の内容とそれに対する講演者の解釈を中心に解説を行い、今後の方向性を議論したい。
キーワード: ユーザエクスペリエンス、ユーザビリティ、消費者、ユーザ、満足感
略歴: 1978年早稲田大学文学研究科(博士課程心理学専修)単位取得満期退学、日立製作所に入社し、中央研究所で日本語入力方式やLISPプログラミング支援環境などの研究開発に従事。1988年同社デザイン研究所に移り、インタラクションデザイン、ユーザビリティ評価の研究に従事する。1996年に静岡大学情報学部情報科学科教授として赴任し、ユーザ工学の体系化を行う。2001年文部科学省メディア教育開発センター(2005年4月より独立行政法人、2009年4月に放送大学に併合)教授として赴任。現在は、放送大学教授、および総合研究大学院大学教授。
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コース4「売れるAppの作り方」
司会: 高橋 信(東北大学)
本講習会では、iPhoneのベストセラーAppの作者二名を講師としてお招きして、売れるAppは何が違うのかを、インタフェースや作り込みのアイディアを中心にお話し頂きます。
お二人の講師にこれらベストセラーAppと新型電子書籍の開発の経緯、インタフェース設計のポリシーをお話頂きます。iPhone等のスマー トフォンでは、小さい画面、タッチによる操作など、従来のコンピュータとは異なる点が多く、スマートフォンに最適化したインタフェースが必要です。 iPhone用アプリケーションの開発販売経験を元に、市場で受け入れられるアプリケーションを作るための企画、開発に関する考え方や、インタフェースのポリシーを説明します。
1.ベストセラーアプリのインタフェース設計
渋谷 正徳
渋谷氏は、個人で開発を行いながらこれまで開発したappの全てがAppStoreの上位にランキングされる気鋭のApp作者です。iPhone上でのお金の管理ではこれしかないと言っても過言ではないベストセラー「支出管理」、リマンダーとして非常に使い安い「次にすること」、既存の連絡先の不満点を解消し大人気の「連絡先+」。これらが渋谷氏の開発したAppです。これらのAppの使い易さは渋谷氏のこだわりのインタフェース設計によるもので、これが人気に秘密となっています。
略歴: 1999年東京大学工学部卒業後、プログラマーとして携帯電話ネットワークシステム、システムエンジニアとしてCAD関連システムの開発に携わる。 2社を経て2009年よりiPhone用のアプリケーション開発を行う。 代表作は「支出管理」(AppStoreランキング最高1位)、「次にすること」(同2位)、「連絡先+」(同2位)。
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2.新型電子書籍の開発の経緯
高山 恭介
高山氏は、電子書籍を読むためのアプリケーション「SkyBook」や「ダイヤモンドブックス」の開発に携わっています。SkyBookはダイヤモンド社より提供中の電子書籍ビューア DReader に採用されています。また、ダイヤモンドブックスは、『もしドラ』や『適当日記』などのベストセラー電子書籍を次々と出してきたダイヤモンド社による新機能満載の便利なストア型アプリで、単なる電子ブックの枠を越えた読書体験を提供しています。
略歴: フリーランスのプログラマとして、クライアントサイドからサーバサイドまで含めたウェブシステムの開発に携わる。 2008年よりiPhoneアプリ市場にも手を広げはじめ、電子書籍を読むためのアプリケーション「SkyBook」や「ダイヤモンドブックス」の開発を行なっている。一方、iOSに関する勉強会の開催などを通じて、国内の開発者の技術力向上や交流の一助になればと密かな活動も行なっている。
著書:
- 入門Trac with Subversion―Linux/Windows対応(秀和システム)
- iPhoneSDK開発のレシピ(秀和システム)
- Greasemonkeyスクリプティング TIPS&SAMPLES(秀和システム)
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コース5「人間とロボットの力学的相互作用に基づく作業・運動支援の実現」
司会: 嵯峨 智(東北大学)
1.人間とロボットの力学的相互作用に基づく作業・運動支援の実現
平田 泰久(東北大学)
ロボットと一言で言ってもその用途・形態は様々あるが、本講習会では特に人間とロボットが物理的な接触を伴い、それらの相互作用に基づいて作業の支援や運動の支援、身体の補助などを行うロボットシステムを紹介する。人間と力学的な相互作用を行うロボットには安全性の観点から解決すべき課題が多く、また、安全を確保したうえでの操作性の向上が求められる。ここでは、高い安全性と操作性をどのようにして実現するのかについて、いくつかの事例を紹介しながら解説を行うとともに、実際に我々が安全性を重視して開発したモータを一切使わずその運動を制御するパッシブ型歩行支援機のデモンストレーションを行う予定である。
キーワード: 人間・ロボット協調、パッシブロボット、人間意図・状態認識、重量物ハンドリング、歩行支援
略歴: 1998年東北大学工学部機械知能工学科卒業。2000年東北大学大学院工学研究科機械知能工学専攻修了。同年東北大学大学院工学研究科助手、2002年11月より科学技術振興機構さきがけ研究21研究員(兼任)、2004年に博士(工学)(東北大学)を取得、2006年より東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻助教授、2007年同大学准教授、現在に至る。複数ロボットの協調、人間・ロボット協調システム、パワーアシストシステム、歩行支援システム等の研究に従事。
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