アクティブな会員増をめざそう
ヒューマンインタフェース学会会長 大須賀 美恵子
本年3月7日に開催されましたヒューマンインタフェース学会総会にて、竹村前会長より本学会の会長を引き継ぎました。土井前々会長が着手され、竹村前会長が推進された改革を引き継ぎ、本学会の発展と健全な運営に、微力ながら尽くしたいと考えております。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
ご承知のように2014年度より会費を値上げしました。長年の懸案の本学会の財務体質の改善と多様化する会員ニーズに応じた新しいサービスを実現するためです。値上げの実施と値上げ金額については、財務シミュレーションに基づき、理事会で何度も議論して決定し、前年度の総会で会員皆様のご承認を得たものですが、消費税引き上げもありましたので、学会の財務体制を盤石なものとするためには、より一層の努力が必要です。
2011年の展望にも書かせていただきましたが、「顔の見える学会」と「財務安定化」を両立させうる会員数として 2,000名という目標が再三掲げられています。学会発足当時は順調に数を伸ばしてきましたが、ここ数年は 1,300~1,400名あたりで横ばいです。この規模ならではの特徴を出し、サービス向上を図って会員の満足度を上げ、「アクティブな」会員数を増やして活性化するという目標への方向転換が必要ではないかと考えています。会員のニーズをくみ上げる仕組みや、会員からの情報発信手段の強化は、前会長もその必要性を主張されていました。今期は、ぜひこの課題に引き続き取り組みたいと考えています。
「アクティブな」会員というのは、シンポジウムや研究会への参加・発表、論文投稿、会誌記事執筆、学会の委員会活動などへの参画、新しい形での情報発信などを活発にする会員、そしてもちろん、会費を納入する会員という意味です。2014年4月時点での正会員の所属は、民間企業357名、大学など656名、国公立の研究所など64名(残りは無所属など)です。男女の構成は、男性950名、女性147名です。「アクティブな」会員構成はこれとは少し違うかもしれません。年代別構成は把握できていませんが、若い世代のアイディアやパワーを活かして、新しいことに挑戦し、社会に発信できる学会にしていきたいと考えます。
会員サービスという点では、会誌の編集方針が見直されより魅力的な学会誌になりました。若手が編集するページもでき、コスト増を最小限に抑えてカラー化を実現していただきました。論文誌の電子化からすでに2年が経過し、電子化を活かしたコンテンツ掲載だけでなく、質の高い投稿論文の確保や査読フローの「見える化」が課題です。研究会の改革は一段落した感がありますが、さらにアクティブな集まりにしていただくための工夫が必要です。次の世代を担う若手研究者や学生が楽しく元気になる場をつくることも次の課題です。
学会の顔とも言えるシンポジウムは、研究会時代から数えると30回目という節目を迎えます。シンポジウム委員会委員長の渋谷副会長のもと、30回記念企画を検討するWGを発足させました。昨年度の評議委員会で30回目だというご指摘をしてくださった筑波大学岩田先生にも参画いただいています。年長者が昔を振り返って懐かしむものでなく、若い世代の方にこれまでの歩みを知ってもらい、新しい時代に向けて発信してもらえるようなインタラクティブな企画にできたらと考えています。今年のシンポジウムは、「しあわせインタフェース」をテーマに、森本一成会長のもと学会設立の地、京都で開催されます。ぜひ、ご参加・ご発表され、「アクティブな」会員となる「しあわせ」を感じていただけますようお願いいたします。
最後に、非常にうれしいお知らせです。本学会の前々会長の土井美和子氏(株式会社東芝 研究開発センター 首席技監)が、平成26年度「文部科学大臣表彰」において「文書処理におけるヒューマンインタフェース技術の振興」の功績で「科学技術賞(振興部門)」を受賞されました。この表彰は、文部科学省が主催するもので、大学や学会に広く対象者の推薦を求め、その中から受賞者が選ばれるもので、土井氏はヒューマンインタフェース学会から推薦し受賞が決まったものです。この分野への貢献はもちろんですが、このような賞にヒューマンインタフェース学会の名を刻んでくださった土井氏に感謝いたします。
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